「意外とパワーあるよ」

ドゥカティSS900の馬力をカタログスペックでご覧になったことはあるだろうか。98年式はなんと80馬力。

この馬力数を多いと思う方はそれでいい(笑)。

国産車のカタログで900~1000ccクラスを見てみよう。

スタイリング的にもエンジン構造的にも、ドゥカティSS900とかぶる、ホンダVTR1000F、Firestormの場合、110馬力。

スズキのSV1000Sの場合、94馬力。

レース用と割り切っているホンダVTR1000SP2の場合、134馬力(らしい1kw=1.36PSと換算)。

対象を四気筒に広げると、ホンダCBR954RRで151馬力、ヤマハYZF-R1で172馬力、スズキGSX-R1000で160馬力、というあたりですか。ホンダのニューカマーCBR600RRなんか、600ccで117馬力らしいです。

ほら、目が肥えてくると、「ずいぶん少ないな」と思うでしょう?まあ、ヨーロッパでは後軸出力、日本ではエンジン出力で表示するらしいので、ヨーロッパの方が少なくなるらしいのですが詳しいことはわかりません(苦笑)。

日本のメーカーはこの「ピークパワー」の「カタログスペック」を大きく見せる習慣があって、もちろんユーザーもこれに一喜一憂するらしいです。

ですが、これは「ピークパワー」なんです。いいですか、バイクの馬力がモノを言うのは加速の時なんです。で、加速は2種類しかありません。コーナーからの立ち上がり加速と単純なストレートの加速です。

ストレートの加速はどんなトルクカーブを描くバイクでも加速できます。たぶん、ターボついてても大丈夫でしょう。途中からカムが切り替わって「ゴワアッ」ってパワーが出てきても、転けたりはしません。もちろん、カタログスペックの馬力がものを言いますので、高速道路の加速レーンとか、サーキットのストレートなんかでは、SS900はちっとも速くありません(おい)。

でも、バイクの楽しさは、コーナーリングにある、と思っている人にとっては、その加速はオマケみたいなモノです。(速けりゃそれはそれでうれしい)

バイクにはトルクカーブというのがあって、パワーの出方を回転数とギアによってプロットしたグラフがよく用意されています。

アレの山の斜面が急で高いと回転数が上がるに連れ急激にパワーが出てきます。

そうすると、アクセルを戻してやらないと、コーナーでは転けてしまいますよね? コーナーを走行中にアクセル開けたり緩めたり、大変そうですよね。

その点、山が低くてなだらかだと、急激にパワーが出てこないので安心してアクセル開度を維持できる、というワケです。

それと、アクセルを大きく開けたとき、ドドドッとすぐパワーが出てくるのもツインならではないでしょうか。このあたり、マルチだとワンテンポ遅れてギュワッとパワーが出て来て心臓に悪いです。

コーナーからの立ち上がり加速、「意外とパワーあるよ」っていう感じなのです。

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