SS900とは?

SS900はイタリアのオートバイメーカー、DUCATI(ドゥカティ)社が1998年から2007年にかけて販売していた、ロードスポーツバイクです。

ベベルギアでバルブを駆動していた1970年代の旧900SSから、コグドベルトでバルブを駆動するパンタ系エンジンを搭載した1989年~1997年までの先代900SSを経て、1998年から発売された三代目となるドウカティ伝統の2バルブエンジンを搭載した系譜のスーパースポーツを名乗るバイクの子孫です。

SS900が登場したころのドゥカティのラインナップは、

水冷4バルブ系のスーパーバイク

空冷2バルブ系のスーパースポーツ

ツアラー系のスポーツツーリング ST4、ST2

ネイキッドのモンスター

となっていましたが、鋼管トレリスフレームのフレームワークが、他のシリーズは全て採用エンジンの形式にかかわらず、エンジンの上部でX状になっている、851系で投入された形状になっているのに対し、スーパースポーツだけが、パンタ系のフレームワークを引き継いでいます。

空冷エンジンを採用したことで、軽量な車体と、バランスの取れたしなやかなフレームを持ち、乾式クラッチという、ドゥカティ伝統の乗り味を体験できるスポーツバイクとして、価格的な面でも入門用的なポジションにありました。

ピエール・テルブランチのCADを駆使した曲面を多用した有機的なデザインのカウルは女性オーナーも多数生みましたが、体格の小さな女性には過酷なポジションのため、立ちゴケに涙した方も多かったことと思います。

ですが、シート高が高いことや、クイックなハンドリングや、カンチレバータイプのリヤサスペンションなど、独特な部分も多く、時間が経つにつれ、特異なオーナーのグループを形成していきます。

特異でないオーナーの方は、同じテルブランチデザインの後発のスーパーバイクシリーズ、999系、749系へ乗り換えるケースをよく見かけたような気がします。

スーパースポーツは倒すとフロントのウインカーがサイドカウルにめり込む、というあり得ない構造を持っていました。このため、ノーマルのウインカーをやめるカスタムも流行ったように思います。

年式を重ねる度にポジションのきつさを軽減したり、排気量の違うモデルで入門しやすくしたり、新しく設計された軽量パーツや、オーリンズの標準採用などを経て、排気量を1000ccのデュアルスパークエンジンとして、2007年にカタログ落ちするまで、約10年間、大きな外観上の変化をせずに続いた息の長いモデルです。

現在、ドゥカティのラインナップには、スーパースポーツと冠するモデルがない状態が続いており、ラインナップは、スポーツバイクから、ムルティストラーダ、ハイパーモタード、ディアベルと拡大路線をとっています。ドゥカティ社は大きな会社ではないので、共通パーツを多く持てるよう、ラインナップを拡大しない、なんて昔の経営者は言っていましたが。

近い将来、スーパースポーツと冠する、パワーやスピード重視ではなく、ワインディングを走るときに手応えと喜びを感じられる手頃なモデルが出現することを願ってやみません。

 

 

10年ぶりとなる2017年、SuperSport を冠したバイクが再びラインナップされました。LEDライトを搭載し、片持ちスイングアーム、右二本だしのマフラーを採用し、テールがコンパクトな今風のデザインとなりました。エンジンもテスタストレッタが採用されて、4バルブとなっていますので、SS900の分類に使われていた「2バルブ系」というのも過去の言葉となりました。SS900もスーパースポーツといいながらオールラウンダーでしたが、SuperSport では、メーカーもいかんなくオールラウンダーを前面に押し出してきている印象です。純正パニアケースもラインナップされているようですが、乗り換えることなく続投しています。SS900の荒々しさは失われてしまっています。

その他の与太話は[コラム]へ。